【最終話】こんにちは赤ちゃん|妊活乙女たちの華麗なる日々

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【人物相関図】

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第15話 ~こんにちは赤ちゃん~

衝撃を受ける葵

マチ子が・・・
マチ子が妊娠?!


その様子だと全く気がついていなかったようだな。


そんな・・・。お腹の子の父親は・・・?


君のほかに誰がいるんだ。


!!!
僕が・・・父親なのか・・・?


・・・。


そんな・・・僕は一体どうしたらいいんだ・・・!


心配するな。


え?


マチ子は一人で育てるつもりでいる。


そ、そんな!僕の子なのに・・・そんなことはさせられない!


だが、君は父親としてその子を認知する勇気があるのか。


・・・勇気?


君が今、マチ子の子を自分の子だと認めるということは、すなわちあやめさんとの間に決裂が生じるということだろう。


・・・。


・・・病院はどうなる。君が守るんじゃなかったのか?


それは・・・。


君の行動一つで、病院の存続が決まる―。そうだろ?


・・・。


よく考えるんだ。


翌日―。


朝食シーン

葵、今朝はステーキを用意させたわよ。


・・・あ、あぁ。


マチ子、何をしているの!早く葵の食事を運んできなさい!


あ・・・はい。


ステーキ肉

お待たせ致しました・・・うぇっ!


キャーー!マチ子!何のマネよ!!


す、すみません!急に気持ちが悪くなって・・・。


全く・・・!早く片付けなさい!


は、はい・・・!


・・・マチ子・・・。


葵は気にせずにステーキを召し上がってちょうだい!ねっ!


・・・。


もうすぐIVFなのよ。しっかり精力をつけてもらわないと・・・。
あら・・・でも朝からステーキはなかったかしら?スッポン鍋に変更する?


・・・。


葵?


しばらくの沈黙を破り、葵は覚悟をしたように顔を上げた。

あやめ。大事な話があるんだ。


・・・今度はどんな話かしら。たまにはいい話を聞きたいものね。


落ち着いて聞いてほしい・・・。


・・・葵・・・まさか・・・?


マチ子は、マチ子は・・・
僕の子を身ごもっているんだ!!


・・・!


!・・・・な、な、な・・・
なんですって~~!!!



あやめショック

マチ子が、マチ子が・・・葵の子を妊娠しているってこと?!


そうだ・・・。


葵!どうしてそれを・・・。


なんて・・・なんてことなの・・・。


あやめ・・・。


重苦しい沈黙が流れた。
小刻みに震えるあやめに共鳴するように、テーブルの上のカップがカチャカチャと音を立てた。

葵・・・これが一体どういうことか分かっているわよね?


すまない、あやめ・・・。


マチ子。あなたのお腹には葵の子がいるのは確か?


マチ子はしばらくの間の後、観念したように小さくうなずいた。

そう。じゃあその子は今すぐ堕ろしてらっしゃい。


そ、そんな!


何を言うんだ!あやめ!


当たり前じゃない!葵、あなたは私の夫なのよ!


それは・・・。


私との離婚を考えているならそれでもいいわ。だけどね、葵。それはすなわちあなたの病院も無くなるということよ。


・・・。


誰が仁勝園病院を支えていると思っているの!?
私の力添えがなくても今まで経営を続けてこれたと思っているの?!


そ、それは・・・。


病院を取るの?!それともマチ子を取るの?!


そこまでだ。



葵の父

お、お義父さん・・・!


あやめさん。君には本当に申し訳ないことをした・・・。


お義父さん・・・!


こんな結果になってしまってどんなに頭を下げても足りないくらいだ。
せめてもの償いにあやめさん、あなたから援助していただいた金は少しずつだが必ず返済を約束する。


お義父さん!それは葵と別れろってことですか・・・?!


君も苦しいだろう、あやめさん。


・・・。


もう終わりにしないか。


そん・・・な・・・・。


この通りだ。


そういうと葵の父、宗太郎は土下座をし頭を下げた。

と、父さん・・・!


あやめさん、この通りだ。
葵を自由にしてやってくれ。


な、なぜですか?!
正直、お義父様の病院が援助なしで経営が続けていけるとは思いませんわ!


病院のことなら気にしなくていい。先日、全ての従業員に当院の経営状況を包み隠さず説明した。それでも一緒に頑張ってくれるという者が少なからずいてくれてね。病院の規模はやや小さくなるが今後は身の丈にあった経営を続けていくつもりだ。


父さん、そんなこといつの間に・・・。


そんな・・・。私はもう用無しということですね・・・。


そうではない。だがあやめさん、君はずっと見てきたはずだ。君にしか映らない二人の姿を見てきたはずだ。


・・・。


これ以上傷を作るのは止めよう。


ふっ・・・ふふふ・・・。


あやめ・・・。


もういいわ。あなたたちの茶番に付き合うのは疲れたわ・・・。


あやめ!


ついて来ないで!!


あやめはフラフラとよろめきながら部屋を後にした。

今は一人にしてやろう。


私が・・・私が悪いのに・・・!


マチ子・・・。改めて聞かせてくれ。
お腹の子の父親は僕、なんだね。


・・・そうよ。葵、あなたがこの子の父親よ―。


僕はあやめを幸せに出来なかった。だけどもう二度と誰も傷つけたくないんだ。約束するよマチ子・・・せめて君だけは二度と泣かせないと―。


葵・・・!


父さん。


うん?


仁勝園病院に僕も戻ります。


だが君はまだ大学病院で・・・。


いつかは戻るつもりだったんだ。そして今がそのタイミングだと思うんです。


葵・・・。


病院の経営は私も手伝います。


沈没寸前の船に乗り込むことになるんだぞ。それでも構わないというのか?


望むところです!


病院を建て直す―。
それを誓い合った二人の男の顔には誇りと自信がみなぎっていた。

アジサイの花

ザーーー!!

やぁ。


・・・なによ。笑いに来たの?


・・・どこへいくつもりだ?


・・・どこへ行こうかしらね。しばらくは実家でぬくぬくするのも悪くないわね。いずれにしてもあなたには関係ないわ。


そうだな。


ついて来ないで。


・・・あいにく傷だらけの子猫には手を差し伸べたくなる性分でね。


・・・。だったら教えてよ。どうして私だけ幸せになれないの?


・・・。


ずっと好きだったのよ。子供の頃からずっとよ!
でも葵はいつもマチ子マチ子・・・。
どうして私を見てくれないの・・・。


気がつくとあやめの目から大粒の涙が溢れていた。

それは、


優一はあやめを優しく抱きしめた。

君が運命の人に出会っていないからだよ。


あやめは大声で泣いた。だがどんなに大声を張り上げてもその声は雨の音にかき消され、誰の耳にも届かない。ただ一人、目の前であやめをしっかりと抱きしめる優一だけをのぞいては―。

あれから7ヶ月後―。


分娩室

ピッピッピッ・・・

うう~~~ん!!!


マチ子!頑張れ!!あと少しだぞ!


はぁはぁはぁ・・・・!うぅぅ~~ん!!!!!


ほ・・・ほぎゃあ!ほぎゃあ!ほぎゃあ!

う、生まれた!!


あ・・・。


マチ子!生まれたぞ!元気な男の子だ!!


よかった・・・!



新生児

おめでとう!マチ子!

・・・あ、あやめ!優一さん!


・・・来てくれたのか。


当たり前じゃない!親友が赤ちゃんを産んだんですもの。


あやめ・・・。


わぁ!かわいい~!


マチ子に先を越されちゃったか・・・!


あやめ・・・。


でも、大した差じゃないわね。1年くらい。


え?


あやめと優一はおかしそうに顔を見合わせた。

ここ、触ってみて。


・・・動いた・・・!あやめ、あなた妊娠してるの?


マチ子の言葉にあやめは恥ずかしそうに微笑んだ。

来年の春に生まれる予定よ。


えぇ!おめでとう!あやめ!優一さんも!


ありがとう。


おめでとうございます・・・!


それにしても小さくてかわいいのね。赤ちゃんって。


ホントね。・・・ずっとこの子が誰かに似ている気がするの。だけど誰だか思い出せなくて・・・。


これから毎日一緒に過ごすんですもの。そのうち分かるわ。ま、忙しくてそんなの忘れちゃうかもしれないけどね。


それもそうね。


明るい笑顔で満たされた優しい時間―。
そんな暖かな空気がその場にいる全ての人の心を幸せで満たしていた―。

・・・

・・・・・

・・・・・・・

”マチ子さん。

あなたの子として生まれてこれて本当によかったです。

妊活アドバイザーとして頑張った甲斐がありましたよ―”

べび待ち中、頑張っているのはママだけじゃなくて、本当は赤ちゃんの方もママに会うために人知れず努力しているかもしれない―。

でもそれはまた別のお話―。

(終)

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