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【人物相関図】
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第6話 ~冷え取りは雨と温もりのシンパシー~
ザァーーー
街行く人々は背中を丸め、小走りに家路を急いでいる。
そんな姿をマチ子はただぼんやりと見送っていた。
・・・。
廃墟寸前のその教会は人気がなく、雨に濡れた十字架だけがそこが「神と繋がる場所」である事を誇示するようにつやめいた。
・・・いつぶりかしら。
カビ臭い匂いが鼻につく。
白いベールを纏ったよう埃だらけのベンチ。
蜘蛛の巣が張ったステンドグラス。
その一番奥にいるイエス・キリストは静かにマチ子を見下ろしていた。
・・・神様―。私は一体どうしたら?
・・・葵・・・!
マチ子・・・!
どうして・・・ここに・・?
葵は夢から覚めたようにはっとした。
―君こそ、どうしてこんなところに来たんだ?
私は・・・なんでもないの。
ただ、ちょっと・・・近くを通った時に懐かしくなって・・・。
・・・そうか―。
確かに懐かしいな。
優しい神父さんがいつも笑顔で出迎えてくれた温かい思い出の場所。
悲しい出来事があった時、悩み事が出来た時、神父さんはいつでも葵たちの話を静かに聞いてくれた。
神父さんはもういないのね。
そうだな。
僕たちが子供の頃でもけっこうなお爺さんだったから。
今頃は天国でのんびりしているんじゃないかな。
―そう考えると、寂しいわ。
そんなことはない。
誰よりも神様の側にいるのを望んだ人だ。
きっと幸せにしているさ。
・・・だといいわね。
ああ。
ふと気がつけば温かい空気が二人を包み込んでいた。
・・・昔に戻りたいわ。
マチ子・・・。
二人の間の時間は会う度に過去へと遡る。互いにそんな風に感じていた。
・・・君はどうして優一さんと結婚したんだ・・・?
・・・え?
なんでもない。忘れてくれ。
・・・政略結婚だった―。
家の存続のため・・・仕方のないことだった。
家族を守るためには必要だったの。
・・・そうか。
だけど、私・・・!
今も?
え?
今も仕方がないと思っているの?
それは・・・。
すまない。
困らせるつもりはなかったんだ。どうかしているな、僕は。
・・・
あやめが今朝、緊急手術した。
えぇ?!
ど、どういうこと?
―僕のせいなんだ。
あやめとの約束を守れず、朝方帰宅した時に、あやめが寝室に倒れていたこと。
救急搬送した先で、緊急の卵巣の摘出術を受けたこと―。
排卵を促す薬によって卵巣が過剰に反応し、大きく腫れる「OHSS」という状態に陥っていた。
腫れた卵巣が捻転を起こし、搬送した時には摘出するしか選択肢がなかったんだ。
そんな・・・。
僕が悪いんだ。
約束どおりもっと早く帰っていたら・・・。
あやめの変化にもっと早く気づいていたら―。
僕は医者も、夫も失格だ。
葵・・・。
もうこれ以上、あやめを悲しませることはできない。
目が覚めたらそれをあやめに伝えるつもりだ。
・・・。
・・・どうか、これからもあやめの力になってあげてくれ。
・・・・わかったわ。
そのまま一度も振り向くことなく、葵は降りしきる雨の中へと消えていった。
・・・寒い・・・。
雨に濡れたせいだ―。
このままでは風邪を引いてしまう。
マチ子が教会を立ち去ろうとしたその時―。
冷えはいけませんね、冷えは~。
フクさん!
マチ子さん。妊活中の冷えはいけませんよ。
・・・そうなの?
秋茄子は嫁に食わすな。
は?
秋茄子は嫁に食わすな。
なぜ2回言うの?
大切だからです。
秋茄子というのは、昔からの知恵で体を冷やす食べ物と言われてきました。
それを嫁に食べさせては体が冷えて子宝が授かりにくくなる。
そんな意味を持つ諺なのです。
なるほど・・・。
ま、嫁に食べさせるのはもったいないから、という説もありますが。
・・・。切ないですね。
赤ちゃんを望む多くの女性は「冷え取り」を妊活に取り入れています。
冷え取り?
ええ。
代表的なのは「シルク靴下」と「綿靴下の重ね履き」でしょうか。
靴下を重ねるの?
そうです。その方が暖かいでしょ。
でも、なぜシルクと綿なのかしら。
シルクはデトックスに効果的だと言われています。
それを綿と交互に重ねる事で、さらにデトックス効果が高まると言われています。
デトックス・・・。
ハイ。体の中の毒素を吸いだすという意味です。
足裏には内臓各所のツボが集まると言われています。
それらの毒素を吸い取ったシルク靴下はその部分に穴が開くんだそうです。
なんだか信じられないわ。
これは東洋医学観点からのお話。
冷え取りなんて、妊娠に全く関係ない!と言い切る婦人科の先生もいますよ。
色んな説があるのね。
ハイ。
ただ、個人的には冷え対策は妊娠の可能性を高めるのではないか、と思っておりますが。
それはどうして?
当サイトの運営者がべび待ちさんが書くブログを通して、
多くの方が妊娠に至るまでの経過をまとめました。
結果、半数以上の方が冷え取りをしていたという結果があります。
そうなんだ。
さらにその方法ですが、
ホッカイロを仙骨部に貼る「仙骨カイロ」という方法が効果的だと思われます。
仙骨部?
お尻の割れ目のちょうど真上です。
そこにホッカイロを?
ハイ。
火傷をしないように、複数の服や腹巻等の上から。
入浴時以外、ずっと温めます。
そんなに長く・・・。
これにより、生理周期の改善・月経血の改善・そして妊娠、というような経過が多くみられました。それに・・・。
実は、このサイトを運営者も、仙骨カイロを実践してまもなく妊娠しています。
そうなのね。
冷え取りは科学的根拠のない経験則です。
全ての人に効果があるとはとても言えるものではありません。
あくまでも興味があればという形でおすすめです。
弱気なのね。
冷え取りをしても、
残念ながら授からない人もいるのです・・・。
不妊治療をしても授からない人もいる。
だけど、可能性を信じてできる事をしたいと思う方はたくさんいる。
そのような方達に、できるだけ負担が少なく、効果的な妊活をお伝えするのがフクのつとめなのです。
フクさん・・・。
おっと、おしゃべりが過ぎました。マチ子さん、あなたは冷えを通り越して、発熱しています。すぐ家に帰りましょう。
そうね。
さっきからひどい寒気が・・・。
あっ!マチ子さん!!
ひどく寒くて、震えが止まらなかった。
マチ子さーーーん!!
~続く~
誰もいない古びた教会で意識を失ってしまったマチ子。
救助は来るのか・・・?
どうする!?マチ子!!
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)とは
あやめが卵巣摘出にまで至った原因の一つ、OHSS。
これは排卵誘発の際に、過剰に卵胞が刺激されることが原因の一つ。
この刺激で、卵胞が一気に成長→肥大した卵巣表面から血液や体液が腹腔内へ漏出。
これにより、腹水が貯留し、量が増えると「お腹の張り」として自覚します。
さらにこの状態が悪化すると、血液中の水分が減少し、尿量が減ります。
結果、腎機能障害、電解質異常、血栓症、呼吸障害などを引き起こし、最悪の場合、死に至る事もあるのです。
【OHSSの自覚症状】
●お腹の張り
●腰痛
●吐き気
●下痢
●尿量が少ない
●呼吸苦
●急激な体重増加
経口剤のクロミフェン療法で発症することは稀で、
hMG-hCG療法(ゴナドトロピン注射)で発生しやすいことが知られています。
今回、あやめが陥ったのは腫れた卵巣が捻転を起こしたために、卵巣の壊死が発生。
卵巣はOHSS等により、腫れると捻転を起こしやすくなります。
卵巣捻転は急激で強い腹痛を伴うことが多く、
早期に対応できれば、あやめのように卵巣摘出にまで至るケースは
決して多くはありません。
妊活で行う「冷え取り」とは
妊活の一環として、多くの女性が冷え取りを実践しています。
代表的なのは、フクが紹介した「冷え取り靴下」ですが、
他にも
●お灸
●ヨガ・ストレッチ等の運動
●食事療法
●半身浴
●腹巻
などがよく行われます。
冷え取りを実践し、妊娠に効果があった!と感じている方はとても多いです。
ですがあくまでも主観であり、全ての人に同様の効果があるとは言えません。
やってみて、「気持ちが良い」「継続したい」と思えるかどうかは
冷え取りを妊活にプラスするかどうかの大切な判断基準になると思います。
あわせて読みたい
当サイトで冷え取りについてまとめた記事をご紹介します。
●体を冷やしてはいけないワケ。
●冷え取りグッズランキング
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