悩ましきPCOSの告白|妊活乙女たちの華麗なる日々

【人物紹介】

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【人物相関図】

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第4話
~悩ましきPCOSの告白~



パーティ会場―。

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ガヤガヤ・・・。

・・・・。


・・・・。


言いたいことはたくさんあったはずなのに
マチ子はその言葉を何一つ思い出せずにいた。
二人の間に新しく生まれたこの距離間は、マチ子に逃げ出したくなるほどの居心地の悪さを感じさせた。

・・・それじゃ、パーティ楽しんで。


葵もそれを察したのか、そう言うとその場を後にしようとした。

葵! マチ子!


あやめ・・・


その時ちょうど、あやめが二人を見つけ、足早に近づいてきた。

探したわよ、葵。
あれほど一緒にマチ子のピアノを聞こうって言ってたのに。


すまない。
ちょっと病院から連絡があってね。


また病院・・・。
葵は一日中病院のことしか考えてないのね。


そう拗ねるなよ。
ところで今日はとても素敵だね、よく似合っているよ。


・・・そんな事言ってごまかそうとしても・・・。


そんなことないよ。本当に美しくて驚いているんだ。


そう言うと、葵はあやめを抱き寄せ、マチ子の目の前でキスをした。

・・・!


いやだわ、葵ったら。マチ子の前で・・・。


あやめは恥ずかしそうにマチ子を振り返った。
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あ、じゃあ私はこれで・・・。


そんな事言わないでよ!
せっかく久しぶりに幼馴染の3人で会えたんじゃない。
もっとゆっくり話したいわ。


・・・。


すぐにでもその場を立ち去りたいマチ子であったが、
その理由を思いつくことも出来ず、佇んだ。
その時―。
あやめに一人の小柄な男性が駆け寄って耳打ちした。
あやめはため息をつくと、「すぐ行く」と短く答えた。

お客様がお帰りになるので、ちょっと挨拶してくるわ。
すぐに戻ってくるから、ここにいてね!


マチ子の返事も聞かずに、あやめはいそいそと小柄な男性の後を追った。

・・・あやめ、忙しいのね。


ああ―。
今日はゲストのはずなのにね。
きっとここにいる誰よりも忙しいと思うよ。


葵は薄く笑った。
久しぶりに葵の笑顔に、マチ子の緊張はわずかに解けた。

葵、さんは行かなくていいの・・・?


僕はこういう場所も、
堅苦しい挨拶も全部苦手だってことは周知されてるからね。
今更、誰も僕に期待していないよ。


そう。
でも、自分のことを理解している人達に囲まれているなんて、幸せだわ。


・・・今日は来てくれてありがとう。
ピアノ、素晴らしかったよ。


聴いてくれたのね。


ああ・・・。
とても・・・懐かしかったよ。


―憶えていてくれたの?


その瞬間、幼少の頃の思い出が二人の頭に思い浮かんだ。
マホガニーの木目が美しい床、正確なリズムを刻むメトロノーム、猫足のグランドピアノ、流れる重厚な音―。
そこは葵の祖父の部屋であった。
マチ子に初めてピアノを教えたのは葵の祖父であり、
二人はその部屋でよくピアノを弾いで遊んだ。
マチ子にとって、とても温かい思い出であった。

あの曲は祖父の葬儀の後、
僕のために弾いてくれた曲だったね。


・・・あなたと、あなたのおじいさんのために。


ふと、マチ子は先ほどまでの刺々しい空気が和らいでいる事に気がついた。
ほっと胸をなでおろすマチ子であったが、
そんな二人を物陰から覗く視線があることにマチ子は、そして葵も気がつかずにいた―。
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数日後―。

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ピンポーン♪

はい。あら?!


じゃーん!
近くまで来たから寄っちゃった♪


・・・いらっしゃい。


あら、優一さんですか?
挙式の日以来かしら?突然お邪魔しちゃってすみません。


いいえ。
俺はちょっと出掛けますが、
どうぞゆっくりしていってください。


突然のあやめの訪問を受け、優一はそそくさと家を出た。
狭いアパートの中、昔の自分を知る者と顔を合わせているのが堪らないのだろう。
マチ子は玄関で優一に小さく「ごめんね。」と謝った。
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・・・で、どうしたの?急に。


うん、あのね。
マチ子、妊活やめてもいいわよ。


え?どういう・・・?


あやめの突然の言葉に、マチ子は戸惑った。

実はね。
私、この間の検査で病気が分かっちゃったの。


病気?


そう。
多嚢胞性卵巣症候群、通称PCOS(ピーシーオーエス)って言うの。
命に関わる病気ではないんだけど、
どうやら赤ちゃんが出来にくいみたいなの。


そんな・・・。


これからは治療をしながらべび待ちするんだけど、きっとすぐにはうまく行かないと思うの。
マチ子と一緒に妊娠、出産したいから、今はマチ子も妊活をお休みしてほしいのよ。


・・・。


マチ子だって、一人で妊娠・出産じゃ心細いでしょ?


ま、まぁ・・・。


どうしたの?
まさかもうお腹の中にいるっていうんじゃ・・・。


それはないけど・・・。


よかった!
じゃあ問題ないわね。


だけど、優一さんがなんていうか・・・。


最初のあやめの誘いを受けたことをきっかけに、マチ子は優一の「子供が欲しい」という気持ちを聞いてしまっていた。
それなのに今更「子作りは中止」と言えるだろうか。

あら!
元々私の言葉がきっかけで赤ちゃんを意識したんじゃない。
だったらお休みするのだって一緒のことじゃない。


・・・。


マチ子。子育てってすごく大変なのよ。
マチ子一人で手に負えるものじゃないわ。
私がちょっとだけ先に妊娠して、マチ子の先を歩いてあげる。
私が先輩ママとして、マチ子に子育てのこと色々と教えてあげるわ。


・・・。


それに・・・。


・・・?


マチ子は本当に優一さんとの子が欲しいのかしら?


・・・え?


あやめの視線が一瞬、刃物のような冷たい光を放った。

それって、どういう意味?


・・・もうこんな時間。
そろそろ帰るわ。
優一さんにどうぞよろしくね。


・・・あやめ。


それじゃあね!


何事もなかったかのようにあやめは明るい笑顔を見せて、ドアを閉めた。
「本当に優一さんとの子が欲しいのかしら?」
あの質問はどういう意味だったのだろう―。
マチ子はぼんやりと閉じられたドアを見つめていた。


女心ってやつは複雑ですねぇ。


フクさん!


あ、どうも。
どうもこの辺りから妊活の匂いがしたもので。


まぁ!


あやめさん、帰っちゃったんですね。


はい、ちょうどさっき。


・・・妊活、止めちゃうんですか?


・・・それは・・・。


私としては続けて欲しいですけどね。
こうして出会えたのも何かの縁でしょうから。


・・・そうですよね。


ところであやめさん、PCOSなんですってね。


聞いてたんですね。


ハイ。聞いてたというか、聞こえたというか。
我が家がちょうどあやめさんとマチ子さんに挟まれた位置にあったもので。


そういうと、テーブルの下に置かれている基礎体温計を指差した。

PCOS―。多嚢胞性卵巣症候群。
日本人の不妊症原因の上位3に入る
と言われている病態です。
生殖年齢*に達した女性の20人に1人がこのPCOSだという統計もあります。


生殖年齢:具体的な定義は定まっていないが、女性の場合は通常20~34歳までを指す。

そんなに多いのね・・・。
一体どんな症状なのかしら?


一言で言えば、「卵子が育たず、排卵しにくい」状態でしょうか。


卵子が育たない・・・。
原因は何なの?


う~ん・・・。
実はこれだけ多くの症例があるけれど、原因には諸説あって、結局のところ特定はできていないんです。


そんな・・・。


色々な原因が組み合わさって発症するという見方が多いですかね。
ホルモンの分泌過程の異常、遺伝、肥満、インスリンに抵抗性がある、思春期に男性ホルモンやDHEAなどの分泌が多かった子(アドレナーキ説)、などなど。


肥満に、インスリン・・・?
なんだか糖尿病みたい。


PCOSを発症している女性は肥満だったり、
血液検査をするとインスリンに対して抵抗性がある、いわば血糖値を下げるインスリンホルモンが効きにくい体質である場合が多いのです。
欧米ではPCOSの女性の多くにこの肥満が当てはまるようだけど、
日本人はそうでもない場合も多い。

こういった点でも原因が明確化できないのかもしれません。


ホルモンが関与しているのならなんとなく分かるけど、インスリンや肥満が卵子の成長に影響すると言われてもなんだかピンと来ないわね。


そうですね。
ですが実はインスリンは排卵や卵子の成長に深く関わるホルモンなんです。
インスリン抵抗性のある女性の体内では血糖値を下げるためには普通に人よりも多くのインスリンが分泌されます。
それが原因で卵巣を包む膜が厚くなって排卵しにくくなったり、男性ホルモンが増えちゃって、卵子が育ちにくくなったりするんです。


ふうん・・・。
じゃあ一体どんな治療をするといいのかしら?


多くの場合には排卵誘発剤を使います。
排卵を促し、妊娠するタイミングを増やす。
これはPCOSの治療というよりはPCOSの人が子供を望んだ時の対処法、という感じです。
PCOS自体を治療する方法はまだ明確ではありません。


排卵誘発剤・・・。
副作用は無いの?


使い方を間違えなければ過度に心配する必要はありません。
ただ、PCOSの場合、ちょっとの刺激では反応せず、少し強い刺激になると過剰に反応するという傾向があります。
これによりOHSS(卵巣過剰刺激症候群)を起こし、卵巣が腫れてしまう場合も少なくはないです。


・・・怖いわ。


排卵誘発剤で効果がない場合には体外受精を勧められることもあります。


それほど自然妊娠は難しいということ?


PCOSは個人差が大きいのです。
PCOSでも何の治療もしないうちに妊娠される方もいます。
スウェーデンの大学の研究チームが、PCOSと診断された35歳以上の女性の追跡調査を実施した結果、86.7%が、1人以上の子を出産し、その73.6%は、自然妊娠であったと報告しています。


自然妊娠も可能なのね。


最近は排卵誘発剤や体外受精以外の治療法も少しずつ確立されつつあります。
例えば先ほどお話したインスリン抵抗性については、血糖値を下げるお薬(飲み薬)を使うことで、PCOSが改善された症例もあります。
いきなりお薬が怖い場合には、インスリンが急激に上がらないような食生活を意識したり、植物由来でインスリンの仕事を手伝ってくれるようなサプリメントを使ったりします。


サプリメント・・・?


PCOSの症状改善にアイスプラントから抽出された成分「ピニトール」がPCOSの症状改善に役立ったという臨床研究データが存在します。
このピニトールを使ったサプリメントです。


へぇ。
サプリメントでしかも植物由来だとなると、なんだか安心するわ。
あやめに教えてみようかしら。


それはいいかもしれません。
詳細はこちらにまとめてありますから。


ありがとう。


じゃあ、そういうことで。
ではでは~。


フクはそのまま基礎体温計の中へと消えていった。
マチ子は基礎体温計をそっと手に取り覗き込んだ。

一体、この中のどこに住んでいるのかしら・・・?


基礎体温計を不思議そうに覗き込むマチ子。
そしてそんなマチ子の姿をみつめる優一。
薄暗い影を落とすその視線に、マチ子は長い間気がつかずにいた―。


悩ましきPCOSの告白|妊活乙女たちの華麗なる日々

~続く~

PCOSを発症し、妊活を止めろとマチ子に迫るあやめ。 マチ子の下す決断とは・・・?
わずかに打ち解けたマチ子と葵。
だが、その背後であやめと優一は・・・。

第5話「予期せぬ妊活ジェラシーの罠」に続く!

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PCOSの発症率は年々増加

不妊原因の約20%を占めるPCOSは年々その患者数が増加していると言われています。
原因は文中でもありましたが、はっきりしていません。
とはいえ、「PCOS=絶対に妊娠が困難な状態」ではありません。
排卵検査薬を基本として、PCOSの治療法は少しずつ増えています。
漫然と効果の出ない同じ治療ばかりを繰り返すのではなく、
自分にあった治療方針を医師と相談しながら模索することも大切です。

PCOSを疑う症状

一概には言えませんが、基礎体温の測定は大切です。 PCOSは無排卵になることも多く、その場合には基礎体温のグラフが低温期しかない1相性を示します。
また
(1)月経周期が35日以上
(2)月経が不規則
(3)にきびが多い
(4)やや毛深い
(5)肥満
(6)身内にPCOSの方がいる上で、上記(1)~(5)の症状がある
などもPCOSでみられることがあります。
しかし、上記だけではPCOSの診断はできません。
疑いをもったら速やかに医療機関を受診します。
超音波(エコー)で、卵巣の外側に多数の小さな卵胞の姿(ネックレスサイン)が確認され、
排卵しにくい状態であると確認されて、初めてPCOSであると診断されます。
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↑特徴的なPCOSの超音波画像

薬だけに頼らないアプローチが大切

PCOSの原因は複数考えられ、特定は難しいのが現状です。
しかしながら、数々の臨床研究により、効果的な改善方法が少しずつ明確になりつつあります。

一つは、血糖値を急激に上げないような食生活。
これにより血中インスリン濃度が極端に高くなり、卵巣へ悪影響を及ぼすことを軽減できます。

さらに、文中でフクが紹介した「ピニトール」という成分を含むサプリメントの活用も有効です。
現在、国内販売されているピニトール配合のサプリメントは多くはありません。
妊活中の女性向けに発売されている商品は1種類。
そればベジママというサプリメントになります。
詳しくは別ページにまとめました。
こちらを参照してください。

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